ききょうの花は、ぽん!と言って咲く

 「もうこれ以上ふくらむのは無理」。そんな声が聞こえてきそうだ。ききょうは限界まで我慢して我慢して、そして咲く。あの咲く直前の、200パーセントの緊張度のつぼみ。「こういう咲き方が好きなのよ」
 ほうせんかは、ぱん!だ。パンじゃない。パンダじゃない。その咲き方はためずにむしろ不意打ち。いや、あれは散り方か?今はじけちゃうの、というくらいその時は読めない。淡い色味の花姿にその音は、一瞬愛らしく。しかし私には、身の丈30センチ足らずの、まるで少女の心意気に聞こえる。
 はて、私は咲いたか。ぽん!と景気のいい音がそこにあったか。ききょうは、その生き方が見る者にその音の迫力を感じさせるのだ。「こういう咲き方が好きなの」で、見せるためなんかじゃない。私は今もって咲こうとしている。そこに私の「こういう咲き方が好きなの」があるだろうか。
 ききょうの咲く瞬間を見過ごしてしまった。