グラジオラスもうなだれる、雨

 黄色いグラジオラスが庭に咲いている。グラジオラスは面白い花だ。多くの花が360度いろんな方向に向かって花を咲かせるのに、一方向だけに顔向け縦にびっしりつめて咲く。咲いている方を前面とするなら、この面だけがやたらと重い。花瓶に入れると収まりが悪い。剣山でも使わない限り、重さで下を向いてしまう。いける時は扱いに工夫がいるが、その黄色の鮮やかさは他では代えがたい。
 今まさにそんなグラジオラスの季節到来なのに、毎日雨が続く。朝見ると一番下の花から少し下がった辺りでポッキリ折れうなだれている。夜通しの雨と風の中、いくら何でもあのアンバランスな作りのグラジオラスに直立を求めるのは無理があるというものだ。雨風がなくても、よくまっすぐ立っていられるなと感心しているのだから。
 「無理~」グラジオラスの声が聞こえる。そうだよ、ほんとそう思う。うなだれ折れたところで切って花瓶に生ける。鮮やかである。