大分県菅蒲鉾店の孔雀は飛ばない でも美しくキシキシ美味しい

   世界の料理を仲間と作っている。何にするかは私の気まぐれだ。時に日本の料理も登場する。今までだと例えば、あんみつ、棒鱈、からしいなりといなりそば、くるみののり巻きなど。今回かまぼこを選んだ。理由は、農文協の「大分県の食事」という本の中で昔の人がにっこり笑いながら二人で向き合ってかまぼこを作っている写真を見たからだ。私にも作れそう、写真の女の人達は笑っているからそんなに大変ではないだろう。でもこれは大きな間違いだった。

  まずフードプロセッサーがないのですり鉢で、細かくした魚の身を1時間ほど擦った。二人一組で交代しながらやったので、まあなんとかできた。でも仕上がりは、きめ細かくなく、弾力が足りず、普段食べているかまぼことはほど遠いものだった。納得がいかなかった。100円位で買えるものなのに、その味が再現できないのか。まだこういう考え方をしていた。物の値段と作る手間は必ず比例しているものだと思っていたのだ。作ったことがないというのはおそろしい。そう、このときまだ私はかまぼこというものを本当にはを知らなかったのだ。

   世界の料理を作っていて美味しくできない時、私はその国のレストランに本物はどういう味なんだろうと、できる限り確かめに食べにいく。確かめずにいられない。基本に、好みは別としてある国を代表する料理は美味しくない訳がないと思っているからだ。また調味料など、どうしても手にはいらず他のもので間に合わせ、それが美味く出来ない決定打になることもあるからだ。

    で、今回はかまぼこ。大分県庁に今でも一般の人でかまぼこを手作りしている地域がないか電話で聞いてみた。残念ながら聞いたことがないという。何年か前沖縄に行った時、公設市場の通りで本当に沢山の練り物の店があったことがひっかかっていたのだ。どうしても気になって調べてみると、大分県の郷土料理のを残していこうと活動されている人がいた。大分学研究会の楢本さんだ。さっそく連絡をすると、関係のありそうな人を紹介して下さるという。ついては、車の運転が出来ますか?とおっしゃる。私は無類の運転好き。目的の場所が列車では佐伯というところまでしか行くことが出来ないので、その先はレンタカーを借りて行って下さいということだった。

    前日湯布院に泊まり、朝ごはんを済ませすぐ 列車にとびのった。それでも佐伯に着いたのはお昼。ここで腹ごしらえをし、レンタカーを借り、紹介してもらった菅蒲鉾店に行き、そこからもう一軒紹介してもらった漁村女性グループめばるの人のところにも話を聞きに行き、6時までにレンタカーを返さなくてはならない。

    車の運転は好きだ。しかし初めての土地でこちらから頼んで話を伺いに行く